おはようございます。まさきんです。
昔読んだ海外の記事のメモを、久しぶりに読み返しました。1to1マーケティング、いわゆるパーソナライゼーションを実現するには何が必要か、という内容です。
古い記事なのですが、枠組み自体は今もそのまま使えると感じたので、あらためて整理してみます。
当時の調査結果は、あくまで昔の数字として
その記事では、ある調査結果が紹介されていました。パーソナライゼーションをきちんと実装できている企業は、4割にも満たない、という数字です。
ただ、これは2016年ごろの調査です。今の状況を示す数字ではなく、あくまで「当時はそのくらいだった」という歴史的な参考値として捉えるのが正しいと思います。今はもっと普及しているはずですし、生成AIの登場でさらに状況は変わっているはずです。
とはいえ、なぜ実装が難しいのか、という理由の部分は、今も十分に通用する整理だと感じました。必要な要素として挙げられていたのが、次の3つです。
3つの要素、データ・コンテンツ・ロジック
データは、顧客一人一人を正しく捉えるための土台です。購買履歴やサイト内の行動、会員属性などが、意思決定に使えるレベルで整っている必要があります。例えばECサイトなら、閲覧した商品・カートに入れた商品・実際に買った商品の履歴が、きちんと一人の顧客に紐づいている状態です。加えて、これらの情報が古いままでは意味がありません。昨日見た商品と今日買った商品が、リアルタイムに近い形でつながっていて初めて、次のおすすめに活かせるデータになります。
コンテンツは、顧客ごとに出し分けるための素材です。同じおすすめメールでも、離乳食を探している人と、一人暮らしの日用品を探している人とでは、見せるべき商品も文章も違います。カゴ落ち・休眠復帰といったメールマーケティングの定番シナリオも、突き詰めれば誰にどんな中身を届けるかというコンテンツ設計の話です。バリエーションが少ないと、結局は同じような内容を全員に送るだけになってしまいます。
ロジックは、誰にどのコンテンツを出すか決める仕組みです。ルールベースの条件分岐もあれば、機械学習によるレコメンドもあります。「閲覧履歴に離乳食があれば、育児カテゴリのおすすめを優先する」といった単純な条件分岐も、立派なロジックのひとつです。当時の記事でも、この部分がいちばん難しい、と指摘されていました。データとコンテンツが揃っていても、組み合わせを決める頭脳がなければ、パーソナライゼーションは動き出しません。
3つのうち、どれか一つだけが欠けても、パーソナライゼーションは中途半端なものになってしまいます。データはあるのにコンテンツが1種類しかない、コンテンツは豊富なのに出し分けるロジックがない、といった状態です。3つが揃って初めて、顧客ごとに違う体験が届けられるのだと思います。
コンテンツの壁は、生成AIでかなり低くなった
この3つのうち、いちばん大きく変わったのはコンテンツだと思います。
以前は、顧客セグメントごとに文章や画像を用意するだけでも、それなりの人手と時間がかかっていました。セグメントを10個に増やしたいと思っても、素材づくりの手間を考えると、結局は数個でとどめてしまう、ということも珍しくなかったと思います。今は生成AIに条件を渡せば、似たような文章を大量に、しかも短時間で作れます。商品説明のバリエーションも、キャッチコピーの出し分けも、以前よりずっと手軽になりました。極端な話、顧客セグメントの数だけ文章を用意する、といったことも、コスト的に現実味を帯びてきています。
ロジックの部分も、以前よりは手が届きやすくなっていると感じます。機械学習を使ったレコメンドの仕組みが、パッケージ化されたサービスとして使えるようになってきたからです。ゼロから統計モデルを組む必要は、以前ほどはなくなってきました。
それでも残る、本当のボトルネック
ただ、コンテンツとロジックのハードルが下がったぶん、逆に見えてくるものもあります。
まず、データです。いくら生成AIで文章を量産できても、元になるデータが雑だったり、顧客ごとに分断されていたりすると、的外れな内容を届けることになってしまいます。会員情報はA、購買履歴はB、アプリの行動ログはC、というふうにシステムがバラバラだと、そもそも顧客一人一人を正しく捉えられません。むしろ精度の高いデータ基盤を持っているかどうかが、これまで以上に差を分ける部分になっているのではないでしょうか。
そして、ロジックについても、技術的な難易度が下がった分、別の難しさが目立つようになったと感じています。それは「自分たちの顧客にとって、何を良いロジックとするか」という判断そのものです。売上を最大化するロジックが、必ずしも顧客の満足につながるとは限りません。値引き商品ばかりをおすすめし続けるロジックは、短期の売上は伸ばせても、長い目で見ると顧客を安売り待ちの体質にしてしまうかもしれません。これは、「悪い売上」を生まないことがCRMの本質だという考え方にも通じる話です。ここは機械学習に丸ごと任せるのではなく、人が判断して設計するべき部分だと思います。
道具が進化しても、何のために誰へ届けるか、を決めるのは結局は人なのだと思います。データが整い、コンテンツが量産できるようになった今だからこそ、ロジックの設計思想が、その企業の姿勢をそのまま映す鏡になっていく気がします。
家庭でも、似たようなことを考えている
この「誰に、何を、なぜ届けるか」という枠組みは、仕事だけの話でもないと感じています。
家庭のなかでも、通信プランや契約を誰にどう割り当てるかは、案外パーソナライゼーションに似た判断です。よく使う家族には容量の大きいプランを、あまり使わない家族には安いプランを。データ(使用状況)とロジック(誰に何を割り当てるか)を、家庭内でも自然と回している気がします。
我が家の携帯プランも、そうやって見直してみたことがあります。よければ参考にしてみてください。
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