おはようございます。まさきんです。
マーケティングの現場では、ターゲティングマーケティングとシナリオマーケティングという二つの考え方がよく出てきます。混同されやすいので、整理してみます。
ターゲティングとシナリオの違い
ターゲティングマーケティングは、属性や購買履歴、趣味嗜好といった情報をもとに、顧客を分類して届け方を変える考え方です。すべてのマーケティングは、突き詰めればターゲティングだとも言えます。最近では、あるユーザーと似た特徴を持つ人を抽出する「Look alike(類似ユーザー)」という考え方も、珍しいものではなくなりました。
一方のシナリオマーケティングは、属性ではなく「直前にとった行動」を起点にする考え方です。技術的にはターゲティングと同じ仕組みですが、何を条件にするかが違います。
定番の配信シナリオ、8パターン
行動起点の施策には、大きく分けて三つの系統があります。顧客のライフサイクルに沿ったもの、サイト内の行動に沿ったもの、そして商品自体のライフサイクルに沿ったものです。それぞれ代表的なパターンを見ていきます。
カスタマーライフサイクル系
- ウェルカム: 登録直後に送るメール。使い方やおすすめの紹介を、利用意欲が高いうちに届けます
- 休眠復帰: しばらく利用のない顧客に、クーポンなどで再訪を促す施策
- バースデー: 誕生日に合わせて送るメール。クーポンなどと組み合わせるのが定番で、特別扱いされている感覚から開封率やクリック率が上がりやすい傾向があります
サイト行動ベース系
- Web閲覧フォロー: 商品を見たあと、その内容をリマインドする。閲覧直後は関心が高いタイミングなので、成果につながりやすい施策です
- カゴ落ち(カート放棄): カートに入れたのに購入に至らなかった顧客への呼びかけ
プロダクトライフサイクル系
- クロスセル: 購入した商品の関連商品を提案したり、レビューを依頼したり、再購入を促したりする施策
- 値下げ商品お知らせ: 気になっていた商品の値下げを知らせる、機会損失を防ぐための施策
- 新商品お知らせ: 新商品の登場を伝える施策。ライフサイクルに合わせて継続的に伝えていくと、顧客側も自然とその周期を覚え、購買のタイミングを合わせてくれるようになっていきます
値下げ商品お知らせは、タイミングがすべてだと思います。携帯のりかえキャンペーンの案内も、近い仕組みかもしれません。自分の携帯代を見直すきっかけになった案内なので、貼っておきます。
実務で感じる、それぞれのクセ
このなかで、個人的にいちばん効果が出やすいと感じるのはカゴ落ちです。検討期間が欲しかっただけ、決済手段で迷っていただけ、という顧客が一定数いるので、後押しがそのまま成果に結びつきやすい印象があります。
逆に、休眠復帰はあまり高い効果が出ないことも多いと感じています。そこまで距離ができてしまう前に、離脱の兆しをつかんで手を打つほうが、結果的に効率がいいのではないでしょうか。離脱の兆しをとらえる考え方としては、直近の購入日・頻度・金額から顧客をランクづけするRFM分析がよく使われます。古くからある枠組みですが、休眠に至る前の「そろそろ危ない」顧客を見つける土台としては、今でも実用的だと感じています。
シナリオマーケティング全体に言えることですが、一回一回の対象ユーザーはどうしても少なくなります。そのため、単発の施策としてはクリック率やコンバージョン率が良くても、配信数自体が少ないぶん、短期的なインパクトは見えづらいものです。それでも、シナリオをきちんと設計しておけば配信解除もされにくく、毎日毎週の積み重ねが、じわじわと成果につながっていく施策だと考えています。
ここで紹介した8パターンは、もともとEC向けの施策として整理されたものですが、実際にはメディアサイトでも、資料請求型のビジネスでも、人材紹介のようなサービスでも、業種を問わず応用が利く考え方です。よく考えれば、これは昔から商売人が大事にしてきた「おもてなし」の知恵を、仕組みとして再現しているだけとも言えます。難しく捉えすぎず、目の前の顧客に喜んでもらう、好きになってもらう。その積み重ねのためのヒントとして、この8パターンを手元に置いておくとよいのではないでしょうか。
仕組み自体は10年以上前からあるものです
ここで紹介した考え方自体は、目新しいものではありません。ただ、実装のハードルは以前よりずっと下がっていると感じます。
生成AIによって、配信文面の作成やパーソナライズが、以前より簡単にできるようになりました。件名やプレビュー文の自動提案、セグメントごとの文言の出し分け、購買履歴に応じたおすすめ商品の文章生成など、以前は人手で作り込んでいた部分が、かなり自動化されてきています。行動データをリアルタイムで集め、初回購入見込み層・リピート有望層・離脱リスクの高い層といった形でセグメントを分け、それぞれに合った内容を配信する、という運用も、以前より小さなチームで回せるようになってきました。ただし、完全な自動任せではなく、最終的な文面確認とABテストによる継続的な改善は、今も欠かせない部分だと思います。仕組みの土台は変わらなくても、実現の手間はどんどん軽くなっているのだと思います。
8つのシナリオすべてを一度に作り込む必要はないとも思っています。まずは効果の出やすいカゴ落ちやウェルカムから着手して、運用しながら他のシナリオを一つずつ足していく。生成AIで文面作成の手間が減った今だからこそ、こうした段階的な広げ方がしやすくなっているのではないでしょうか。
まとめ
古くからある考え方ですが、今でもCRM施策の土台になっていると感じます。目新しさより、土台をきちんと押さえることのほうが、結局は大事なのかもしれません。ちなみにこの下のリンクも、そうした案内の一例かもしれません。
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